映画『ザ・トゥルー・コスト』から見つめ直すわたしたちの在り方と社会貢献の考え方

映画『ザ・トゥルー・コスト』から見つめ直すわたしたちの在り方と社会貢献の考え方

第1回社内DVD上映会 『ザ・トゥルー・コスト』

少し前、全社員である映画の上映会を行いました。タイトルは『ザ・トゥルー・コスト』。
2015年にアメリカで制作され、日本版には~ファストファッション 真の代償~という副題が付いています。詳しくはぜひ調べてみていただきたいのですが、私たちが普段買っている服がどのように作られているのか、生産地である途上国の労働者、現地の産業、環境にどんなことが起こっているのかを追ったドキュメンタリー映画です。想像以上に悲惨な現実に思わず目を背けたくなる、だけど向き合うきっかけをくれるような作品でした。

なぜEC事業・メディア運営を行う私たちがそのような社会課題を扱う映画を観るのか。鑑賞会から何を感じ取り、考えたのかをお話したいと思います。

自分の問題意識を育てること、ブランドをつくること

私たちは服を扱ってはいないですが、資本主義社会で事業を行っている以上、トゥルーコストと同様の構造の中にいます。商品を売るため、代償の大きさは違えど、少なからず誰か(人や環境)の犠牲のもとでビジネスが成り立っている。メディアの事業でも、誰も欲しくないモノをとても良いものかのように押し付けてしまう可能性もあるし、そのモノを誰がつくるか想像することもなく、お金を増やすために不幸の連鎖に加担しているかもしれない。たとえ悪意はなくとも、構造上そうなってしまっている。そしてそれが「見えなくなっている」ことが事態をどんどん悪化させています。それはどこかに隠れている悪者のせいではない、自分たちもそのシステムをつくる加害者の一人として問題意識を持たなくてはならないのだと、この映画から考えさせられました。

このような問題意識は目の前の仕事や生活だけを見ていると感じづらいですし、知ったとしても「それはそうだけど自分の力ではどうにもできない。ファストファッションはなるべく買い控えて、エコバックやマイボトルを使おう!」なんて短絡的に考えて、自身の罪悪感を解消しようとしてしまう。でも、本当にそれが「自分が社会課題に対して出来ること、社会貢献の形」なのか?そのエコバックやマイボトルを作るのにも同じような犠牲を伴っているし、そうやって自分の心の貧しさを埋めるために消費をし続けても逆効果でしかないのだと気づかなければ、自分の問題意識は育っていかない、むしろ貧しさが加速していくだけなのです。

私たちは「社会問題に取り組むブランドをつくるため」ではなく、1人ひとりが問題意識を持ち、それを仕事と結びつけていこうと考えています。そうした活動の束が、ブランドとして形作られていければと思い、鑑賞会など学習の場をつくっています。

自分の仕事、生活そのものを見直すきっかけをつくる

まずは、資本主義社会の中にいる以上、誰かを傷つけている加害者であると同時に、そうし続けることで自分自身も不幸にしていることを自覚すること。一生懸命仕事をして、売上利益をあげても自分も含め誰も幸せになっていない、そういう状態が簡単に起こってしまうことに疑問を持つことが必要だと考えています。それでもいいや、と受け流さない、社会に参加している1人として、トゥルーコストが投げかけているような問題提起に対して、常に反応できる自分でありたいと思えるように。社会で起こっていることが目の前の仕事とつながっていることとして捉えられると、働く意味や感じられる充実感も変わってくるはずです。だから私たちはこのような学習の場をなるべく多くつくろうとしています。これまでも精読会など学習の時間をつくってきていましたが、業態転換を進めていく中で、労働問題や環境問題の理解も少しずつ進み、より自分たちの仕事、生活とのつながりを感じられるようになってきました。

私たちプレコチリコのメンバーも、最初から社会問題への関心がすごく高かったり、大きな志を持っていたりした訳ではありません。むしろ自分の仕事や生活と、社会で起こっていることは別のものとして捉えてしまっていたように思います。ですが、業態転換を契機に少しずつ学習を深めている中で、自分の問題意識を持てるようになってきました。これまでもいい商品、いい読みものをつくりたいと思ってきたけれど、さらに深く、大きな意味を考えられるようになって、「もっとこんなことができるんじゃないか?」というようなワクワク感につながっています。

良い社会をつくるために、「なぜ?」を持つ仲間を増やしたい

何か難しそうな、めんどくさそうなことをしているように聞こえるかもしれませんが、平たく言うと、ちゃんと社会にとっていいことを自分たちの仕事にしたい、そのために急がば回れじゃないけれどもちゃんと理論的な背景も学びながら正しいことをやっていきたいということです。それを物語りとして商品やよみものに乗せて伝えることができれば、お客様にも「ワクワク感」が伝わるのではないか、お得感や優越感のような乾いた感情ではないものが感染していくのではと信じています。

そしてそんな事業をつくっていくために、社会に対して違和感を持ち、「もっとこうなるといいよね」と素直に思っているような、そんな仲間をどんどん増やしていきたいと考えています。私たちは無意識に自分が損をしないよう上手くやることを目的として生きてしまっているような気がします。そうではなく、何か社会を動かしていくこと、つくっていくことを目的として生きていくこともできる、そんな可能性を一緒につくっていきたいと思っている人に加わってもらいたいと思っています。

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