【精読会報告】仕事ができる状態にしておくために ドラッカー『経営者の条件』②

【精読会報告】仕事ができる状態にしておくために ドラッカー『経営者の条件』②

不定期で更新しているプレコチリコの精読会報告。すっかり間が空いてしまいましたが、毎週様々な本やメンバーを交代しながら変わらずゆるやかに続いています。今回は、以前も紹介したドラッカー『経営者の条件』より、時間の使い方をテーマにした章からわたしたちにとっての「仕事ができる状態」について考えてみました。

『The Effective Executive』の意味

『経営者の条件』という題名だけ見ると、自分には関係ない本なのかと思っていましたが、読み進めていくとすぐに原題の『The Effective Executive』には“経営者”やエグゼクティブという言葉から連想される役職者に留まらない、すべての“会社の中心にいる人”“仕事ができる状態にしておくべき人”に向けて、という意味が込められていることがわかります。現代は知識の時代。この本でいう仕事は知識労働のこと。たくさん専門知識を知っているという意味ではなく、自分自身の頭を使って考え、学習を続けるという意味での「知識労働」が企業を、そして社会を動かしていくのです。

それは“仕事”なのか“作業”なのか HowではなくWhatを考える

世の中、特に今の日本に溢れる仕事、働くことに対する捉え方、特に会社員としての働き方は知識労働からかけ離れたものも少なくありません。決められた作業を時間内にこなすこと、業務の効率化、時間削減、専門知識・スキルを活かした作業。与えられた作業をより早く片付けていくこと…確かに無心で手を動かしていると仕事をしている気分になってくるけど、それは考えることが中心の知識労働者の働き方ではない、仕事ではなく作業なのです。

すでに決まっている“すべきこと“に対してやり方(How)を考えることができる=仕事ができることのように思われていますが、そうではなく、そもそもなぜこれをやるのか、本当に必要なことなのか、すべきことは何なのか(What)から考えることが本当の知識労働者としての仕事。自分自身の時間の使い方を振り返ってみても、今まで「やっているつもり」だったことが本来向くべき方向と違う方向を向いていたことに気づきはっとさせられました。

仕事も会社も自分のためにあるわけじゃない

組織の中で働いている以上、私たち社員1人ひとりは会社という大きな文脈の中に格納されています。その一部分として関わり、考え、成果を出すために参加しているけれど、目の前の仕事、自分の周りだけのことで精いっぱいになってしまうこともよくあります。自分の仕事に対して責任感、使命感を持って取り組むことは大切なことですが、作業に夢中になったり、「これしかない」という思い込みに陥ったりする危険も常にあるのです。社員1人ひとりが、意志をもっていないといけないけれど、それがなかなか難しい。

文中に、『神は、人を組織のための資源として創造したわけではない』という言葉が出てきます。この言葉が使われた文脈とは少し異なりますが、私には自分で意味付けすることが必要だと言われているように感じました。自分自身は組織のため、会社のために存在しているわけではいけれど、そこで働く理由、仕事をする理由は自分で見出すしかない。目の前の作業をこなすだけでは見えない、それは事業と社会メカニズム、全体を捉えて初めて自分の中につながってくるように思います。

自らを「仕事ができる状態」にしておくために

理想は、すべての社員が経営者と同じ位のエネルギーとマインドを持って働くことができれば良いのでしょうが、簡単なことではありません。だからと言って考えさせることを諦めた、いわゆる肉体労働的な、与えられる仕事をこなすような働き方は、私たちの会社ではしないことを選んでいます。だから、諦めずになされるべきことを知るために時間を使い、振り返りや内省を大切にしています。

自らを、真の知識労働者として「仕事ができる状態」にしておくために何が必要なのか。結局それは1人ひとりが探索して、見つけていくしかないのです。1冊のハウツー本で得られるものではない、こうしていろんな本を読んだり、世の中の仕組みを知ったりしていくことがその足掛かりをつくっていくのだと思います。様々な出会いを通して自分にとっての仕事、この会社で働く意味、生き方について言葉にし続けていくことが唯一の道なのかもしれません。ここで1つ、別の書籍からですが、私が最近心に留めておきたいと思ったとある詩人の言葉を紹介しておきます。

根のない植物なら、死ぬほかはないが、人間は、根がなくても生きてゆけると信じた。
中略
われわれのやらなければならないことは、近代をのりこえてゆくこと――絶対的に近代的であること――であって、近代からあとずさりすることではない。自分にとって、近代的であるということは、世界と接触を失わないということでなければならないと思った。
(鮎川信夫)

今回精読した「時間」についての話からだいぶ遠いところに行ってしまいましたが、実際の精読会でもこうやってどんどん話が広がっていきます。わたしたちの会社では社員全員が企画職という表現をしており、社員1人ひとりがそういった「知識労働者」としての働き方をすることが必要とされています。今回も精読会を通してそれが思った以上に難しい挑戦だと感じさせられましたが、その反面、やらなければならない、やってみたいと素直に思うことができました。

次回の精読会も楽しみです。