【ニュースコラム】反面教師、尾見会長に見るリーダーの在り方
若者に声が伝わらない?_お笑い芸人りんたろーとの対談
NHKの9時のニュースをまた見た。1回でダメだと諦めてはいけないのかもしれない・・・、期待も込めてもう一回、見てみよう。いいところだってあるかもしれない。その日、メインでやっていたのがコロナ禍対策委員会の尾身会長とお笑いコンビEXITりんたろーとの対談だった。テーマは「今、尾身会長が若者に伝えたいこと」らしい。このあたりから、もう怪しいがそこは我慢して見ることに。でも、やはり、NHKの編集は酷かった。しかし、尾身会長も想像以上に酷かった。尾身会長の姿を見て、日本のコロナ禍対策のお粗末さを納得するとともに、ふと、自分自身を振り返った。俺はこんな風になっていないだろうか。これはもしかして、天が我に与えた反面教師か?酷さを分析するとともに、自分自身を振り返らなければ。そう思った。
対談は尾身会長の悩みをりんたろーが聞くというカタチで始まった。尾身会長:「若者に全然メッセージが伝わらなくて悩んでいる」と。りんたろーは始めいいことを言っていた。「メッセージの意味がよくわからくて同世代の人間たちに発信する要領が掴めない」と。「もっとわかりやすく説明してくれれば伝えやすい」と。いいこというし、その通り!全体像を全く示せない政府の説明など誰も理解できない。一番大きな目的手段図式が示されないまま、モグラたたきのように施策が右往左往。緊急事態宣言も「医療緊急事態宣言」というべきもの。病床数の確保など1年前から課題となっていたはず。準備をまったく怠っている尾身会長自身の怠慢を棚上げして、若者を非難されても叶わない。そんな気持ちがりんたろーのことばの端々には感じられた。しかし、・・・NHKはそんなりんたろーの意図することをまったく取り上げず、尾身会長の主張である「若者はなぜ、こんなにだめなのか?」というテーマを変えようとはしなかった。尾身会長に至っては、りんたろーの言ってる意味が分からないようだった。
責任ある地位についてはいけない典型的な人
責任ある地位にある人の最低限の作法は、まずは、「すべて自分の責任」と思って頭を絞ることである。何か見逃していることはないか、勘違いしていることはないか、全体の目的は見失われていないか・・・。状況を適切に意味づけて、個々の課題を明確にし、実行部隊の作業工程に落とす。その間に起こる、現場の失態は黙って見守るしかない。実行と育成は時間軸に差があるもの。同時には考えられない。責任ある地位にある人は、そのくらいは理解していなければならない。日本のコロナ禍対策が迷走する理由が、いみじくもはっきり理解できた瞬間だった。
さらにまとめると、政府の責任ある立場の人間が「若者」のせいにしてはいけない。というか決してやってはいけない行為である。愚痴を言いたくなるのは理解するが、公で発言するなどもってのほか。マネジメントの原則「すべて自分の責任」というリーダーの原理に完璧に反している。自分の対策をこそ振り返り、検証すべきである。NHKもそうした検証をこそ放送すべきである。こんな茶番は百害あって・・・でしかない。
最後は「思いやり」で〆たNHKの罪
しかも、最後はお決まりの「お互いの世代が思いやりを持とう」という結論になった。これは結論ではない。最もやってはいけないパターン。抽象的な結論で気持ちの大切さを説くなんて、敗戦の原因そのものである。でも、いつもの日本人のパターン。NHKのパターンでもある。ニュースで流すような内容ではない。
今、明日の資金繰りが困るところまで追い込まれている飲食店がいる。フリーランスもどん底である。自殺者も急増しているのである。そんななか、やっぱり「思いやりが大切」とは。必要なのは決して思いやりではない。思いやりなど1円にもならない。今、尾身会長が考えなければならないのは、NHKがチェックしなければならないのは、具体的な対策である。その全体像である。
1.どうしたら病床数が確保できるか。
2.どうしたら早く全国民にワクチンが打てるか。
その2点に尽きる。
どちらも支持率が下がってきてようやく慌てて着手している有様。初めからちゃんとマネジメントしていれば、今年に入っての緊急事態宣言などいらなかったし、ワクチンなど、もう国民の半分以上が打っていていい計算である。アメリカはすでに1億人がワクチン接種を完了している。イギリスなどマスクを外している。
近代社会における「責任」の在り方
でも、やっぱり、こんなに酷いリーダーを目の前にして、やらなければならないのは自分自身のことである。「そんなこといってお前どうなのだ?」。
「何か見逃していることはないか、勘違いしていることはないか、全体の目的は見失われていないか・・・。状況を適切に意味づけて、個々の課題を明確にし。その間に起こる、現場の失態は黙って見守るしかない。実行と育成は時間軸に差があるもの。同時には考えられない。」
自分自身に突きつける。
・何か見逃していることはないか
_(見逃さないための方法は何か?)
・勘違いしていることはないか
_(どうしたら世界をありのままに見れるのか?)
・全体の目的は見失われていないか
_(部分ではなく全体を全体のまま見る動機をこそ)
・状況を適切に意味づけているか
_(東西南北・前後左右、三択問題もんだい、箱の外の視座)
・個々の課題を明確にしているか
_(仮説を淀みない文章で設定せよ)
・現場の失態は黙って見守っているか
_(それも含めてリーダーの責任)
・実行と育成は時間軸に差があるもの。同時には考えられないことを知っているか
_(足元と未来と)
こうして明確な問いにするとやはり、身の引き締まる思いがする。NHKや尾身会長の失態はとてもとても困るけど、そして、日本人として恥ずかしいけれど、それよりもなによりも自分自身の仕事である。そんな気持ちにもさせられた。
NHKは編成をもっとちゃんとするべきである。尾身会長は・・・う~ん、塗る薬が見当たらない。りんたろーにあなたの席を譲れば、もっとコロナ禍対策はまともになるだろうな・・・自分の頭を使う人が責任者にいないと・・・
けど、自分自身の仕事をしよう。今日は土曜日、社員たちの振り返りシートに返事を書く日である。そして、中計も大詰め、しっかりアクション・プラン・シートに落とし、現場マネジメントイメージを固めなければ。漏れなくダブりなく。さあ、取り掛かろう。