ベテラン社員の底力
2022新卒との面接で去来したベテランの底力
今日、ちょうど来年入社の学生に最終面接で内定を出したところである。とても感じのいい若者で、面接という短い時間のやり取りの中でもその生き方の清々しさが感じられるほどだった。こちらをも前向きにさせてくれる、いいエネルギーをもらった気がする。来年、一緒に働けることが楽しみになった。
しかし、というべきか、だから、というべきか。逆に、私はベテラン社員の底力のようなものが際立つ気がしたのである。フレッシュではないかもしれないが、芯の強さを感じたというか粘り強さを感じたというか・・・
ベテラン社員にはわたしはついついきつく当たってしまう。もう10年以上も苦労を共にしてきた仲間である。私も様々な記憶を思い起こすことができる。だからというわけではないのだろうが、私も仕事の現場では容赦しない(比較的・・・)。資料の作り方ひとつに対しても次から次に要求が浮かんでしまう。大概、それをそのままことばにしてぶつけてしまう。自分でもわかるほど、明らかに若い社員よりもわたしの態度はストレートである。
しかし、それでもベテラン社員はへこたれない。内心は凹んでいるのかもしれないが(たぶんそうだろう、いやどうだろう・・・)、そんな姿をひた隠し、次の日も次の日も、わたしの要求にこたえようとしてくれる。ふと、私は、こうしたベテラン社員に“凄み”を感じたのである。若くて元気な学生に会ったことがきっかけなのだが、対照的なそのベテランのけな気で謙虚な態度になにか安心感のようなものを感じたのである。こうした力が組織には必要である。
今は業態転換の最終年度の最終クォータ。新、中計年度へ向けて追い込みの時期。そんな大量の作業を整理するにはベテランの知識と経験は欠かせない。表面的には強く要求してしまう私にも、ふと、心の中で手を合わせたい気持ちにさせるのである。こいつらはほんとうによくやっているな・・・感謝の気持ちが去来した。
打たれ強さは能力であると思う
発想の柔軟さや新しい知識を吸収することは若いやつにはもはや勝てないかもしれない。でも、打たれ強さでは若者の比ではない。ちょっとやそっとじゃへこたれない。それは優れた能力である。事業というのは長丁場である。
私自身、創業から20年以上事業をやってきて、何が人に誇れるかといえば、唯一、やめなかったことと答える。ひとつのことを長く続けた事実は21世紀の今の日本においてはそれだけで価値である。ひとつの会社に10年以上、社員として勤めるその姿にやはり私は感動を覚えてしまう。ストレスに弱い人間が多い世の中である。すぐに諦めるひとをたくさん見てきた。
人の能力はさまざまである。ひたすらスマートに物事をまとめ上げるのももちろん能力には違いない。事業において論理一貫性は大切である。しかし、一方で現実妥当性も同じくらい重要。リアルの世界では思わぬことが起き続ける。予想もしなかった出来事など日常的に起きるのである。そんな時、平常心で対処できるのか。是々非々の態度をもって適切に妥協できるのか。それが前進するコツである。
若い人間にはこれがなかなか出来ないようである。どうしても理想に、より、こだわってしまう。「でも、こうあるべきですよね」そんな訴えが聞こえてくる。でもベテランはそんな時、「そういうものですよね」という。辛酸を多く舐めてきたその経験は伊達ではないのである。
組織には究極、両方必要であるのだが
どちらが重要とは実は言い切れない。若者の理想主義も、ベテランの現実主義も、組織にとってはどちらも必要である。未来を切り開く理想主義。現実の困難を突破する現実主義。どちらも同じくらい使ってきた気がする。片一方だけではなかった。
しかし、私自身が現場に近くなればなるほどに、そして、チームで動けば動くほどに、感じるのはベテランの有難さの方である。うちの会社は年功序列ではない。評価を年次で決めるようなことは全くない。しかし、事業の現実を考えると、正義感や読解力だけでは語り尽くせないものも確かにそこにはあるのだと思う。理屈はめちゃくちゃだけどやり抜く力というかなんというか・・・。実際の事業はそんな力こそが重要な場面も確かに多かった・・・
バランスの取れた組織
組織がスリムになり、中計年度がいよいよ始まる。そんな追い込みの中、ふと若い力とベテランの味の両方を感じる機会に恵まれた。なにか神に感謝したい気持ちになった。
でも、今日も現実の一日がはじまる。気を引き締めて、さあ、今日も気合を入れて。
ふと、ベテラン社員を飯にでも連れて行かなきゃなあ・・・と思うそばから考えた。でも、・・・、褒めるとすぐに調子に乗って手抜きをするのもベテランなんだよなぁ・・・(-_-;)。仕事が一服するまでそれはお預けにしようか。コロナだし、店もあまりないし・・・
2022年の学生と10年選手のベテラン社員と。
どちらもわたしたち組織の貴重な戦力である。
それは間違いない。
そんなことをふと考えた。