【採用コラム】コロナ禍での就活 「わからない」から来る不安に飲み込まれないために
コロナの時代 先が見えない中での就活
未だに収束の兆しが見えない新型コロナウイルスの拡大状況。東京をはじめ全国各地での緊急事態宣言の発令。昨年から続いてきたとは言え、これから就職活動が本格化する学生の方は少なからず焦りや戸惑いを抱えているのではないでしょうか。私も自分が就活していた時に同じ状況だったら…コロナが無くても不安で仕方なかったのでさらに大きな不安に飲み込まれ焦って空回りしていたと思います。
「先が見えない不安」というけれど、逆に先が見えているものなんてあるのでしょうか。10年先がはっきりと見えている会社なんてないし、そんな人もいない。ずっと安心安定を保障してくれる場所なんて冷静に考えてみたらどこにもないのです。―だから不安に思っても仕方ない!ネガティブに考えるのはやめよう!といっても感情として現れてしまうものは仕方ない。気にしないようにしたところで何も解決はしないのです。
人は安心安全の場所を求める
確実なものなんてないけれど、もしかしたら自分に安心安全を提供してくれる場所があるかもしれない。そうやってなるべく大きく頑丈そうなところに逃げ込むのも一つの手。人よりも安全な場所にいると思えれば自分の身に天災が降りかかる不安は和らぐかもしれません。それか、世の中がどうなるかわからないんだったら会社に頼らずとも自分で生き抜く力をつけて臨機応変に渡り歩けば良い。そう考えるのも1つの選択です。自立した、かっこいい人にも感じられる。でも、その考え方だったら新卒、正社員として働く道はちょっと違うかもしれない。少なくとも私たちは、どんな力を発揮するのかわからない新卒を採用する上で【仲間になりたいと思えるか】【信頼できると思えるか】を考えるので最初から会社を逃げる場所や自分に利益をもたらす場所と捉えている人は難しい。他の会社も日本の企業なら同じような考え方のところが多いと思うので、自分の不安を和らげる、安心安全を与えてくれる場所として会社を探している人は新卒、正社員ではない道の方がマッチするように思います。
結局、よく分からないから…と不安から逃げる方法を考えていても就活においてはすっきりした状態にはならないように思います。自分をごまかさず、納得感をもって就活をするためには、不安と向き合うことが必要なのではないでしょうか。
不安の正体を考えてみよう
なんで自分はすぐに不安を感じてしまうんだろう。もちろん、不安に思うこと自体は悪ではない。それ自体を否定する必要はないけれど、不安に振り回されてばかりではあまりにも生きづらい。漠然と感じる不安は、自分にはコントロールできない何か、得体が知れない感から起こるように思います。確かにコロナウイルスがどういうものなのかいまいち良く分からないし、感染するのは怖い。でもそれよりもこわいと感じるのは、それによって社会がどう変わるのか、自分の生活がどうなるのかわからないという足元を脅かされる感覚、その影響に対する不安なのではないでしょうか。
社会やわたしたち1人1人の生活は複雑なメカニズムによって動いているもの。それは自分の力ではどうすることもできない、天災のように上から降ってくるものを受け止めるしかない。そんな被害者意識があるからわからなくて怖いとか不安だという気持ちになるのかもしれません。
でもそれって本当に「自分にはどうすることもできない」ことなのでしょうか。不満を口にするのが精いっぱいなのでしょうか。世の中の仕組みを変えることはできなくても、ものの見方・考え方を知ることはできます。ニュースを見ても良く分からない、誰も教えてくれないけど自分から知ろうともしていない、とりあえず自分にはどうすることもできないから誰かどうにかしてほしい…というのはあまりにも無責任で無自覚なのではないか。知ることによって「なんだかよく分からないけどこわい」の状態からは少なからず抜け出せる。もしかしたら自分が信じて恐れていた情報も、構造が見えると本当の問題はそこじゃないと分かるかもしれない。そうすると不安に飲み込まれるだけだった自分から変化できるように思えてきます。
コロナ禍での就活 強くしなやかに生きるために
就活に対する意識は人それぞれ。安定的に長く働ける会社を探している人もいれば、ステップアップのための手段として考えている人もいるでしょう。上手くいかなくなったとしても人生終わりじゃないし、いつでもリスタートすることはできる。だけど、社会人としての1社目はかなり大きな意味を持つと思います。その選択を納得できるものにするためには、不安に飲み込まれないための思考を身に着けて自分の本当の声に耳を傾けられる余白をもった状態でいられるかが大事です。自分の不安を解消してくれる場所を探し求めるか、自分の不安は自分で整理して本当に進みたい道を選ぶのか。時代のせい、社会のせいではなく、それを自分がどう考えるか。
コロナという大きな変化が起こってしまった以上、それをどう受け止めながら就活を進めるのかが1人ひとりに問われています。自分が不安に飲み込まれて焦っていることにすら気づいていない人もいるかもしれない。辛いことや不安なことと向き合うのは苦しいし、悩むけれど、自分の心の中を整理するための時間は、就活という時期だからこそ必要なことだと思います。悩まない、気にしない人が強い人ではない。私もついつい不安から目をそらして気にしないように、と脇に追いやりがちなので偉そうなことは言えませんが、それでは何も変わらない。そうではなくて、ちゃんとぶつかっている問題と向き合って、それが何かを考えることをしないと…と心がけています。
不安に感じてもいい。その時にどう考えるのか。
どうやってそれと向き合い、乗り越えようとしているのか。
これから出会う方とはそんな話ができるといいなと思っています。