【図書部】幸せな時間について。
幸せな時間について。
幸せの時間と聞いて何を思いだすだろう。
自分の家の布団に飛び込んだとき。
少し早く起きて朝のコーヒーを飲んでいる時。
家族と一緒に、小さな池のある公園を散歩している時。
ずっと楽しみにしていた旅に向かう支度をしているとき。
もし、“ものを買うこと”を幸せのうちの1つと言って良いのであれば・・・私にとって最近の1番幸せな時間は、本屋さんに行って本を小脇に抱える瞬間。自分の財布からお金を出して、本を買うときの気持ちです。
子供の時も買いたい本は買ってもらっていました。それでもどこか遠慮する気持ちもあって、“この2冊のうちどちら1冊を買おうか”と小さいながらも切実な思いを抱えて本を選んでいた記憶があります。そして選んだ本は今でも宝物。開けばその時の思い出を蘇らせてくれる、大切な1冊です。
・・・そんなことを記事にしようとしていたところ、ちょっと頭をかすめたのが「値札を見ずに、持てるだけ本を買ってみよう」ということ。そんなことして何になるのだろう。そうも思いましたが、最近オンライン書店で買い物をしすぎて、リアル書店から足が遠のいていたところ。昼休みをすこし多めにとって、会社の近くの本屋へ行ってみました。
久しぶりのリアル書店。お目当てを決めずに店内を見回すと、いつもとは違う風景が見えてきます。そういえば子供の頃ってこんな感じだったのかも。なぜかちょっと新鮮で、大人びた気分にさせられます。
もっぱら通販での“指名買い”が多い中、画面越しに見ていた本とご対面。それぞれの本の作り方や大きさ判型、裁ち落としの仕方まで、各々違った形をしている書籍たち。その並べ方も店側の思いがこもったその店だけの並べ方・・・。そしてあまたの本達から気になった一冊を拾い上げ小脇に抱え、またしばらく歩いて、本が輝いて見えるままに手に取り、パラパラとめくり、興味がわけばまた小脇に抱えます。さながら無料で本を手にしているかのような大胆さに、決して悪いことをしているわけでもないながら、ちょっとした罪悪感が生まれてきてしまいます。
そういえばこの本読みたかったな。
この本しばらく前に新聞に載ってたっけ。
そんな少しくすんだ記憶のもとに手に取った本たちは、インターネット上であれば間違いなく出会うことがなかったような本ばかり。
「お金に糸目をつけない」という、自分へのご褒美を決めてからその買い物すると、無意識のストッパーが消える瞬間があるようです。実際に本屋に来てみると、ずっと眠らせてきた自分の興味がすっと花開くことがある。いつもは自分でしまい込んでしまっているような感情も、きらびやかでこちらに訴えかけてくるような本棚の前にすると、思わず手が伸びてしまう・・・。大人の特権の1つです。
“本のバイキング”を終えて会社に戻ると、思わずカフェにいた人に自慢したくなってしまいました。
この本はね・・・。
こっちは昔から読みたかった本でね・・・
そんな話をしているうちに、“読みたい!”といってくれたので、一冊読んでいる間に残りの何冊かを読んでもらうことにしました。思わぬ形で出会った本たちは、今身の回りにいる人ともっと話をするきっかけを与えてくれるのかもしれません。
今度は誰かと一緒に本屋さんに行って、一緒に本探しするのも楽しそうだな。なんてことを思います。
この本どう思う? いいんじゃない!
これどうかな? それよりこっちなんてどう。
そんな会話をしながら、思っても居なかったような本と出会うことができる。オンライン全盛の世の中ですが、こんな小さなオフラインなお店も、たまには行ってみたいものですね。